グリーン購入ネットワーク(GPN)

グリーン購入ネットワーク(GPN)
の取組事例

1996年設立のグリーン購入ネットワーク(GPN)は、持続可能な調達を通じて環境問題の解決を目指しています。グリーン購入法が制定される以前から、企業、行政、NPO/NGO、民間・消費者団体、学識経験者が参画し、グリーン購入の普及促進に寄与してきました。2018年にはグリーン購入基本原則を改定し、環境面だけでなく、社会面にも考慮した持続可能な調達へ活動領域を拡大しました。これまで商品選択のためのグリーン購入ガイドラインを21分野で策定し、13,000点超の製品・サービス等の環境情報データベースの運営、先進事例の表彰、研修やセミナー等を実施し、調達が担う持続可能な社会への役割を伝え、新たな実践者を育成しています。

全国ネットワーク組織であるGPN(会員1,287団体(企業1,056、行政100、民間団体131))は、設立当初より、SDGs目標12「持続可能な消費と生産」の実現に向け、普及啓発に取り組んできました。「買うからはじめるエコ」を旗印に、企業、行政、NPO/NGO、民間・消費者団体、学識経験者が集い、グリーン購入の推進、持続可能な調達の推進を図っています。

【共通価値】

立場の異なる作り手と売り手、買い手が取り組みやすい環境を整えるために、基盤となる考え方をまとめています。

■グリーン購入基本原則の策定・改定

4つの考え方(必要性の考慮、製品・サービスのライフサイクルの考慮、事業者の取り組みの考慮、情報の入手・活用)からなる基本原則を、設立初期に策定し、2018年には社会面も考慮した持続可能な調達へ改定しました。

■グリーン購入ガイドラインの策定

グリーン購入基本原則に基づき、製品・サービスの購入時に考慮すべき事項をまとめた「グリーン購入ガイドライン」を21分野で策定しています。立場の異なる生産者と購入者がラウンドテーブルで話し合う過程で、お互いの知恵(製品の環境配慮の情報や工夫、製品選択に必要な情報やニーズ等)を出し合い、集合知とも言えるグリーン購入ガイドラインを生み出しています。

■比較可能な環境情報の提供

「エコ商品ねっと」は、グリーン購入ガイドラインやグリーン購入基本原則に基づき、製品やサービスの環境情報と事業者の環境面・社会面の取り組み情報を掲載する日本最大級の環境情報データベースです。1997年に開始し、13,000点超の製品やサービスを掲載。さまざまな環境の視点から比較することができます。その他、環境・社会面に配慮したパーム油の使用製品や再エネ電力に関する情報も提供しています。都道府県・政令指定都市の76%、400を超える自治体、企業、通販事業者等が「エコ商品ねっと」掲載情報を利用しています。

【意義や取り組み方の普及】

■自治体担当者向け研修会

地方自治体は、地域における大口の購入者で、地域経済や地域企業や住民への啓発効果も大きいことから、全国の自治体担当者を対象とした研修会を実施しています。例年、全国7箇所で、直近2年はオンラインで実施しており、2021年度は350団体507名の自治体担当者が参加しました。テーマ別セミナーや方針策定支援も展開しています。

■セミナー/SDGs研修会

持続可能な原材料の調達に取り組むためには、サプライチェーン上の環境面や社会面の様々な課題に対応する必要があります。事業者として押さえるべき要素を、事例と合わせて解説するセミナーを開催しています。また、SDG Compassに基づき、「事例から取り組み方を学ぶ」をコンセプトとしたSDGs研修会(全6回)(2019年度:64名、2020年度:232名、2021年度:307名)を開催しています。

【競い合い、評価】

■グリーン購入大賞

持続可能な調達を通じてグリーン市場の拡大、SDGsの目標達成に寄与する取り組みを表彰しています。1998年に開始し、2022年度で23回目を迎えます。これまでに282件、そのうち大臣賞(環境省・経済産業省・農林水産省)を39件表彰しました。

■グリーン購入ランキング

環境省「グリーン購入取組事例データベース」の公表情報を基に、GPNが設定した評価基準により、すべての地方自治体のランキングを公表しています。

【実践・参加できる仕組み】

■持続可能な調達アクションプログラム

環境面への配慮に加え、人権・労働等の社会面へも配慮された製品やサービス等の購入を推進するために、サプライヤーへの働きかけなど自社の取組状況を把握するためのセルフチェックする仕組み(127項目)を2018年に構築しました。会員企業が取引先の持続可能性調査に活用したり、業界団体が傘下の会員企業の取り組みを把握するために活用したりしています。

【パートナーシップで普及】

組織単体では実現できなかったり、実現にコストや時間がかかったりする持続可能な調達の普及・浸透を、産官学民のネットワークによって国内外で実現しています。

■地域ネットワークと国際グリーン購入ネットワーク

北海道、宮城、埼玉、横浜、大阪、九州に地域ネットワークを設立し、GPNと共に、グリーン購入の普及促進活動を展開しています。また、「第1回グリーン購入世界会議」(2004年)にて、世界規模でグリーン購入を推進することを目的に、国際グリーン購入ネットワークの設立を提案し、2005年に設立しました。国際グリーン購入ネットワークの設立以降、10カ国・地域(韓国、マレーシア、タイ、中国、インド、ベトナム、シンガポール、台湾、フィリピン、インドネシア)にGPN組織が広がっています。

■再エネ100宣言 RE Action

2019年には再エネ電力100%利用を促進する新たな枠組みを構築し、RE100に参加できない日本国内の中小企業や地方自治体、大学等に向けて参加を呼び掛けています。