日本製鉄株式会社
日本製鉄株式会社
の取組事例
企業としての循環経済への取組に対する基本的な価値観や方針
① 数ある社会課題の中からサーキュラー・エコノミーに関する課題を自社が事業活動を通じて取り組むべきマテリアリティとして特定した理由
当社は、エネルギーの使用量が日本全体の約5%を占めるなど、事業活動の環境におよぼす影響が大きい企業です。そのため、全グループ会社をあげての総合的な「環境経営」を企業の使命と考え、「環境基本方針」を制定しています。原材料・資機材の購入、生産、技術開発、製品の輸送・使用・リサイクルに至るすべての段階にわたって、環境負荷低減に向けた経営を目指しています。
② サーキュラー・エコノミーに係る取組を企業価値向上につなげるための基本的な方向性
鉄は資源循環を持続できる柔軟な素材であり、まさにサーキュラーエコノミーを体現している素材といえます。また、その鉄の製造工程では、限りある資源・エネルギーを、すべてのプロセスで無駄なく利用しています。更に、この鉄の製造工程を活用することで社内副産物の循環利用によるゼロエミッションの実現や、社会や他産業で発生する廃棄物の再資源化にも積極的に取り組んでいます。
循環型ビジネスにおける市場機会や自社の強み
鉄鋼スラグは、ほぼ全量が有効利用されています。高炉スラグは約7割が高炉セメント用に使用され、製鋼スラグは路盤材、土木工事用資材、地盤改良材、海域環境改善材、肥料等の用途に利用されています。
また、当社は、資源リサイクルによる循環型社会形成に貢献するとともに、省エネ・CO2削減も目的に、容器包装プラスチックを主な対象として、製鉄所内に、異物除去、破砕機、減容成形機等からなる事前処理設備およびコークス炉への装入設備を設置し、コークス炉化学原料化法によるケミカルリサイクルを2000年より行っています。
指標・目標の設定
当社では、2019年度に3,954万トンの粗鋼を生産し、2,493万トンの副産物が発生しました。副産物の大半は社内外でリサイクルされ、廃棄物として最終処分される数量は一過性もあり28.9万トンとなりましたが、99%という高水準の再資源化率を維持しました。今後とも国の目標(2020年度に対2000年度-70%削減 27.3万㌧)の達成に向け最終処分量を更に低減させるべく努めていきます。
また、容器包装プラスチックの資源循環システム構築への貢献では、ケミカルリサイクル法による再資源化処理の積極推進を目標として活動しています。
実施体制
当社では、半年ごとに開催する環境経営委員会を軸に、PDCA(計画、実施、監査および改善施策)のマネジメントサイクルを効果的に回し、改善を進めています。当社は環境リスクを経営問題と捉えており、気候変動や大気・水・廃棄物等の環境リスクを環境経営委員会が管理し、取締役会や経営会議に報告する仕組みを構築しています。また、ガバナンス強化の一環として、全製鉄所の環境担当部長会議と環境担当室長会議を定期的に開催しています。
参考URL
https://www.nipponsteel.com/csr/env/env_management/management.html