casestudy 取組事例

紙コップから紙コップへ ~飲料用紙コップの水平リサイクル

[企業・団体名] 日本製紙株式会社 日本航空株式会社 東罐興業株式会社

構成メンバーと連携のポイント

日本製紙株式会社

東罐興業株式会社

日本航空株式会社

紙コップのサプライチェーンに連なる三社が協働してリサイクルチェーンを構築し、紙コップから紙コップへの再生紙コップを具現化した。


開始時期(予定)等

2022年12月  航空機内での紙コップ分別回収開始

2024年6月 再生紙コップを航空機で試験提供


技術やビジネスモデルの説明

使用済みの飲料用紙コップを再び飲料用紙コップへリサイクルする日本で初めての事業である。

廃棄物削減と紙資源の循環利用拡大のために、サプライチェーンに連なる三社が協働して、紙コップから紙コップへの水平リサイクルに挑戦した。

紙コップは、飲料残渣の汚れ、紙とプラスチックフィルムの複合材料、防水加工等の理由で古紙禁忌品に区分されており、古紙として一般流通していない。従って、紙コップがリサイクルできる資源であるという一般的な理解はない。

食品容器への再生を配慮して、分別回収、保管、輸送、再生パルプ化、再生原紙製造までの一連の過程をトレースできるリサイクルチェーンを独自に構築した。

再パルプ化設備は、紙とプラスチックフィルムを高効率で分離する工夫や脱墨、除塵装置を備えた食品・飲料用紙容器の専用処理設備で、有害物質等の異物混入が起きない管理ができる施設を新しく日本製紙富士工場に設置した。


事業の流れ

① 日本製紙グループ(以下、NPI‐G)はカップ原紙を製造し、東罐興業へ提供する

② 東罐興業はカップ原紙を紙コップに成形加工し、JALグループ(以下、JAL‐G)へ提供する

③ JAL-Gは国内線搭乗客の飲料提供時に紙コップを利用する

④ JAL‐Gは航空機内で使用済み紙コップを搭乗客の協力の下、分別回収する

⑤ JAL-Gは回収した紙コップをリサイクルのために日本製紙グループに引き渡す

⑥ NPI-Gは紙コップを破砕・洗浄・梱包し集積する

⑦ NPI-Gは紙コップを富士工場の専用リサイクル設備で再生パルプ化し、カップ原紙原料とする

⑧ ①に戻る


実績や目標など

2022年12月から始めた使用済み紙コップ回収は、羽田空港発着東京(羽田)―沖縄(那覇)線から始まり、鹿児島、熊本、長崎、福岡の九州方面、新千歳、旭川の北海道方面に拡大している。

2024年6月に、紙コップから紙コップへの水平リサイクルの第一段階として、再生紙コップ(再生パルプ配合率25%;古紙の一部に機内で回収された紙コップを含む)を製造し、期間限定で羽田発JAL国内線運航便の紙コップに利用した。

尚、再生紙コップ以外の再生用途は、段ボールや家庭紙などである。


将来的には、飲料用紙コップのリサイクルを社会定着させ、再生紙コップの普及拡大を目指す。


取組を紹介したURL等

https://www.jal.com/ja/jal-group-spirit/230224/

https://press.jal.co.jp/ja/release/202405/008087.html

https://www.nipponpapergroup.com/news/year/2022/news221118005349.html

https://www.tskg-hd.com/news/detail/20240530_newsrelease.html