車載用リチウムイオンバッテリー(LIB)のリサイクルによる循環資源促進の取り組み
[企業・団体名] JX金属株式会社
開始時期(予定)等
2010年;(敦賀工場)正極材製造工程からのスクラップを原料に金属コバルト、金属ニッケル、炭酸リチウム及び炭酸マンガンを回収するLIBリサイクル事業テストプラントの操業開始
2015年;(敦賀工場)廃正極材、民生用廃LIBを対象とし金属コバルト、金属ニッケル、炭酸リチウム及び炭酸マンガンを回収する実証試験開始
2020年;(日立技術開発センター)小規模試験設備による車載用LIBからの高純度金属塩回収試験操業開始
2021年上期;高純度硫酸ニッケル回収を開始予定
2022年上期; 高純度硫酸コバルト回収を開始予定
~2030年;実用化実証試験
2030年~;事業化による循環経済の促進
技術やビジネスモデルの説明
世界全体の持続的な成長のためには、限りある天然資源を効率的に利用し汚染を予防する必要があり、当社では高度で効率的な車載用廃LIBリサイクル技術の開発/商業化を図ることにより、車載用LIBの原料となる非鉄金属資源の循環的利用推進に努めている。
電気自動車(EV)に搭載されているリチウムイオンバッテリー(LIB)は、EVの本格的な普及に伴い、2030年頃から大量廃棄されることが予想されているが、現状ではそのほとんどが産業廃棄物として処理されている。LIBに使用されるコバルト、リチウムなどのレアメタルは希少資源であり、今後EV市場の持続的発展を可能にするためには、代替材料開発とともに廃棄LIBのリサイクル・リユースに関するシステム構築が急務となっている。
当社は、早くからこれらレアメタルのリサイクルに着目し、家電製品やパソコン等で使用される民生用廃LIBを処理してきた。さらに、その操業プロセスを改良し、車載用廃LIBから高純度金属塩を回収する新規プロセスを確立した。このプロセスは、廃LIBを無害化のために熱処理し、生成した電池粉に含まれるニッケル、コバルト及びリチウムを酸で浸出後、独自の溶媒抽出技術で分離回収する。これにより、電池部材の一つである正極材の原料としてそのまま使用できる高品質な硫酸コバルト、硫酸ニッケル及び炭酸リチウムを回収、すなわち車載用LIBから電池原料を直接回収・供給するクローズドループリサイクルが実現する。
さらに、試験設備での金属回収量をキロレベルからトンレベルまでスケールアップしても処理できることを実証するため、設備改造に着手した。
今後も、当社が開発したプロセスにより、バッテリーtoバッテリーのクローズドループリサイクルの実証に取り組んでいく。
実績や目標など
・2040年までに、以下のとおり廃車載用LIBに含まれる金属の回収率を上昇させる。EUの電池規則の要求に適応できるプロセスを確立し、循環経済のグローバルなニーズに応えていく。
Co>95%、Ni>95%、Li>70%
取組を紹介したURL等
JX金属株式会社HP内 展示会特設サイトより
一般社団法人 産業環境管理協会 資源・リサイクル促進センター HPより
http://www.cjc.or.jp/raremetal/advanced-business-model/nmm-jx-group
JX金属株式会社HP内 技術力紹介サイトより
https://jx-nmm-recruit.com/about/technology.html
一般社団法人 日本経済団体連合会HP内 チャレンジ・ゼロ
https://www.challenge-zero.jp/jp/casestudy/62
JX金属株式会社HP内 ニュースリリースサイトより
https://www.nmm.jx-group.co.jp/newsrelease/upload_files/2021/3/31/20210331_01_6018119_01.pdf