漁網由来の再生ポリエステル樹脂製の配膳用トレーの開発と展開

[企業・団体名] 帝人株式会社チムニー株式会社株式会社JEMS

構成メンバーとその役割

・帝人株式会社

製網メーカーなどとの協力により漁業協同組合から不要となったポリエステル製の巻き網を回収し、マテリアルリサイクルによる再生樹脂の製造及び配膳用トレーの製造・販売

・チムニー株式会社

居酒屋「はなの舞」など全国に飲食店を展開、漁網由来の配膳用トレーを運営店舗で採用

・株式会社ＪＥＭＳ

ブロックチェーン技術を活用した価値証明サービス「Circular Navi」の開発

開始時期等　

2022年 7月～

技術やビジネスモデルの説明

帝人株式会社、チムニー株式会社、株式会社ＪＥＭＳの３社は、トレーサビリティに対応した漁網由来の再生ポリエステル樹脂製の配膳用トレーを共同で開発しました。

この配膳用トレーは、２０２２年７月４日よりチムニーが運営する「豊洲市場さかな酒場　魚星　中野北口店」の定食メニュー提供時のトレーとして採用されています。

＜開発の背景＞

国内で年間約 1,300 トンもの廃棄がなされているとされるポリエステル製の漁網は、再利用出来ないものの多くが産業廃棄物として埋め立て処分されており、また、海洋中に流出するケースもあることから、環境への悪影響が問題視されています。

この状況を受けて帝人は、2021 年 4 月より、ポリエステル製の漁網を回収して再生樹脂にリサイクルし、その樹脂によるさまざまな製品を販売することで、漁網の廃棄量を削減する取り組みを開始しましたが、販路の開拓やトレーサビリティの構築を課題としていました。

一方、居酒屋「はなの舞」などを展開するチムニーは、環境負荷軽減の実現に向けて、運営する店舗内におけるさらなるサステナブルな取り組みを模索していました。

また、環境に特化したＩＴ事業を展開するＪＥＭＳは、ＩＴ製品の開発やソリューション提供を行うことで環境問題の解決に取り組んでいます。

こうした中、３社の取り組みや方向性が合致し、トレーサビリティに対応した漁網由来の再生ポリエステル樹脂製の配膳用トレーを共同開発しました。

＜開発した配膳用トレーについて＞

①

帝人が製網メーカーなどと、漁業協同組合から不要となったポリエステル製の巻き網を回収して

再生樹脂にマテリアルリサイクルし、その樹脂を配膳用トレーの材料に使用しています。

トレーを構成する樹脂の１０％以上に再生樹脂を使用していることから、エコマーク認定の「海洋プラスチックごみ、漁業系プラスチック廃棄物を再生利用した製品」(*1)を取得しています。漁業系プラスチック廃棄物を再生利用した製品としては初めてのことです。

(*1)エコマーク認定 No.164「海洋プラスチックごみ、漁業系プラスチック廃棄物を再生利用した製品」：公益財団法人日本環境協会が運営するエコマークの一種で、海洋プラスチックごみ対策に特化した環境ラベル認定基準。海洋プラスチックごみや漁業系プラスチック廃棄物を由来とする再生プラスチックを、製品に使用するプラスチック中に 10%以上配合しているものを対象とする。

②

本トレーの色は艶消し黒色で、あらゆる料理の彩りが美しく映えるスタイリッシュかつシンプルなデザインとしています。また、トレー表面にノンスリップ加工を施して、トレーに乗せるお皿が滑りにくくなるような仕様としています。

③

本トレーはＪＥＭＳのブロックチェーン技術(*2)を用いたトレーサビリティシステム技術により、トレーに貼り付ける２次元コードをスマートフォンで読み取ることでトレーの原材料となる漁網が使用されていた漁港を確認することや、トレーを生産した際に発生したＣＯ２などの情報を確認することができます。漁業系プラスチック廃棄物を再生利用した製品であることをデジタルシステムによって情報開示することで、本トレーの製品価値向上の一助を担っています。

(*2)ブロックチェーン技術：取引データを適切に記録する分散型データベース。