casestudy 取組事例

ポリスチレンの完全循環に向けて、世界初の新たな溶解分離リサイクル技術を用いた協業

[企業・団体名] 株式会社エフピコ DIC株式会社

企業としての循環経済への取組に対する基本的な価値観や方針

リサイクルの拡大推進が気候変動問題及び海洋プラスチックごみ問題の有効な対策の一つと考えており、単一素材におけるリサイクルの技術と仕組みが確立しているエフピコ方式のリサイクル「トレーtoトレー」「ボトルto透明容器」を着実に実行してまいります。さらに、発泡PS容器の完全循環型リサイクルを目指し、DIC株式会社(以下「DIC」)と協業し、色付き発泡トレーを新たな溶解分離リサイクル技術(Dic法Dic 法:Deinking chemical process)のリサイクルと、ケミカルリサイクルを並行して検討しています。


スキームや技術の説明

2020 年 11 月に、DICとエフピコは、ポリスチレンの完全循環型リサイクルの取り組みの開始を発表し、両社が保有する技術および回収・リサイクル体制を最大限に活用する新たなモデル構想を打ち出しました。同取り組みでは、色付き発泡トレーを新たな溶解分離リサイクル技術を用いて、従来の白色トレーと同様に「トレーtoトレー」のリサイクルを可能にします。また、ケミカルリサイクル技術を用いてポリスチレンの原料であるスチレンモノマーに還元するリサイクルと並行して進め、ポリスチレンの完全循環型リサイクルの実現を目指しています。


エフピコグループは、「トレーto トレー」のリサイクルを掲げ、スーパーマーケットなどに設置された約 1 万の回収拠点から、使用済み食品トレーなどを回収し再利用しています。食品トレーは、用途に応じて白色と色柄付きの発泡トレーがあり、一般家庭から排出される使用済みの白色発泡トレーは、再び食品トレーにリサイクルされています。その一方で、色柄付き発泡トレーは、リサイクルした際に再生ペレットが黒色になってしまうため、食品トレーへ再利用する際の使途が限られるという課題があり、ハンガーなど別の日用雑貨品に再生利用されています。


この課題解決に向け、DICは色柄付き発泡トレーの新たな溶解分離リサイクル技術(Dic 法:Deinking chemical process)を開発しました。同技術は、DICが印刷インキ事業で培った技術や樹脂設計の知見を活用し、黒色の再生ペレットから着色成分を除去し、ポリスチレン生産プラントに投入する方法です。これにより、色柄付き発泡トレーについても従来の白色のエコトレーと同様に「トレーto トレー」のリサイクルが可能になります。


2024年11月にDIC四日市工場が稼働予定。2025年よりエフピコでその原料を使用して製造されたエコトレーを販売予定。エコトレーの生産量は従来の30%増を見込んでいます。

完全循環型リサイクルを実現し、使用済みプラスチックの有効活用および食品包装容器のライフサイクルにおける二酸化炭素(CO2)排出量の削減に貢献する所存です。


取組を紹介したURL等

DICとエフピコ、プラスチック製食品トレーの完全循環型リサイクルに向け

世界初の新たな溶解分離リサイクル技術を用いた協業を開始

https://www.fpco.jp/dcms_media/other/press_keieikikaku_20220804.pdf


2024年3月期決算説明会資料(p33)

https://www.fpco.jp/dcms_media/other/press_keieikikaku_20240508.pdf