casestudy 取組事例

金属粉末におけるシリコンウェハーのリサイクル活用

[企業・団体名] セイコーエプソン株式会社

開始時期(予定)等

2020年2月より活用開始

技術やビジネスモデルの説明

エプソンは長期ビジョンEpson 25 Renewedの中で環境技術開発・資源循環促進を掲げ、さらに環境ビジョン2050年で、2050年までに地下資源消費ゼロとすることを表明した。本技術はその取組みの一つであり、エプソンの半導体やインクジェットヘッドの製造工程で不要となったシリコンウェハーを、グループ企業であるエプソンアトミックス㈱(以下EAX)の主力商品である金属粉末の原料としてリサイクル活用し、資源循環を実現したものである。EAXは金属溶解とアトマイズ粉末製造技術によって磁性粉末・焼結粉末などの金属粉末商品事業を展開している。粉末商品はその特性実現のため種々の元素を添加して製造し、シリコンはその主要添加元素の一つである。当社では、半導体製造工程におけるテスト製造等を経て、不要となったシリコンウェハーを一定量排出する。このシリコンウェハーを回収し、EAXの金属粉末原料としてリサイクル活用することを試み、回収したシリコンウェハーの不純物規格などを明確にした上で原料として使用した結果、粉末の量産品質確保を達成した。この技術により、リサイクルによる廃棄物削減およびCO2削減、バージンシリコン使用削減による地下資源利用減を実現し、さらにコストダウンにも繋がっている。

実績や目標など

シリコンウェハーのリサイクル活用は2020年2月から開始して継続実施している。これまでの累計で約5tonの活用を行っており、廃棄物削減と新たな地下資源利用減を実現した。またEAXではこれまで、シリコンの原料を数千円/kgで外部購入していたが、これをシリコンウェハーのリサイクルで代替することで大幅なコストダウンが可能となった。またバージンのシリコン原料のCO2発生原単位は約11kg-CO2/kgであるが、リサイクル活用することでこのCO2発生分が実質ゼロとなり、CO2削減を実現している。

エプソンではグループ内にEAXが存在する強みを活かし、さらに金属資源循環を進める。たとえば使用済みインクカートリッジを回収し、その中の金属部品を粉末原料としてリサイクル活用するなどの取組みを今後も積極的に推進していく。

関連情報が掲載されたURL等

・エプソンの長期ビジョン:

https://www.epson.jp/company/corporate_vision/

・エプソンアトミックス㈱のホームページ:

http://www.atmix.co.jp/