casestudy 取組事例

環境に優しいゴム資材用接着技術

[企業・団体名] 帝人フロンティア株式会社

開始時期

溶剤代替水系接着剤を2019年から販売しており、RFフリー接着剤は現在開発中です。

(※R:レゾルシノール、F:ホルマリン)

技術やビジネスモデルの説明

タイヤやベルト、ホースなどに代表されるゴム製品には、ゴム単独では達成できない形態安定性、剛性、強度、耐摩耗性、耐疲労性などを付与することを目的として、様々な補強繊維が使用されています。一般的には、ゴム中に埋設もしくは混練分散して用いられることが多く、補強繊維とマトリックスゴムの接着は製品として欠かせない機能であり、接着の良否が繊維/マトリックスゴム複合材料の性能に影響します。

用途により、接着性に加えて収束性要求に応じて、接着剤を繊維間に含浸させやすい溶剤系接着剤が適用されています。しかし一方で、溶剤使用は、環境への負荷が高いため、当社は、新しく溶剤を代替する水系接着剤を開発し、その普及を目指しています。

また一方で、水系接着剤として、いわゆるRFL(R:レゾルシノール、F:ホルマリン、L:ゴムラテックス)接着剤が用いられています。主にタイヤやベルト、ホースを補強するポリエステル、ポリアミド、アラミド繊維等に広く使用されています。しかし、ホルマリン(F)は発がん性、レゾルシノール(R)は皮膚刺激性など、その有害性から使用量や取り扱いに関して、欧州や日本では様々な法規制の対象となっています。この状況を鑑み、当社では、RFを含まないRFフリー接着剤を新たに開発しています。

実績や目標など

溶剤代替水系接着剤販売目標

一部の顧客に採用が始まっており、その展開領域を拡大するべく、引き続き、技術開発を継続中。顧客ニーズに対応した開発を継続しております。ベルト用補強繊維の主力工場である、タイおよび日本での生産も含め、2025年度には国内外で数十憶円規模の販売を目標としています。

RFフリー接着剤販売目標

2020年よりこの接着剤を使用したゴム補強繊維の試験生産を開始し、2028年にはライセンス生産を含め、20万トンを目標としています。