casestudy 取組事例

銅製錬事業におけるリサイクル原料増処理量の取り組みによる資源循環促進への貢献

[企業・団体名] JX金属株式会社

開始時期(予定)等

1980年代以降;当社リサイクル拠点で貴金属回収を目的としたE-scrap処理開始

2008年;佐賀関でE-scrap焼却前処理を開始

2010年;台湾にリサイクル原料の集荷基地を設置

2014年;米国に営業拠点を設置

21年4月;台湾リサイクルセンターの集荷・処理能力を増強後、稼働開始

22年4月;大型前処理カ焼却炉(キルン炉)稼働予定

技術やビジネスモデルの説明

世界全体の持続的な成長のためには、限りある天然資源を効率的に利用し汚染を予防する必要があり、当社では銅製錬所におけるE-scrap(※1)などのリサイクル原料比率のさらなる向上を図ることにより、非鉄金属資源の循環的利用推進に努めている。

銅鉱石の製錬は、鉱石の溶解に燃料を用いず、鉱石自身の酸化反応で鉱石を溶解・含有金属を分離するプロセスであることから、この反応熱を有効利用し、非鉄金属を含む使用済み製品からのリサイクルと鉱石の製錬を組み合わせることで、ライフサイクルの視点に基づくエネルギー消費量およびCO2発生量の大幅削減が可能となる。

当社は、1980年代から日本の非鉄金属リサイクル事業の先駆者として、銅鉱石とともにリサイクル原料を処理し、銅や貴金属・レアメタルを精製し、地金(※2)や半導体材料等の先端素材として社会へ供給している。主要拠点の佐賀関製錬所と国内各地にあるリサイクル拠点が連携し、継続的にその処理量を増加させてきた。さらに、2010年には台湾にリサイクル原料の集荷基地を設けるとともに、2014年には米国にも営業拠点を設置し、世界規模のリサイクル原料集荷体制を整え、グローバルな資源循環型社会の構築に積極的に寄与してきた。

現在、佐賀関製錬所近郊の大分港に新たな物流拠点の設置を進めており、世界的な非鉄金属リサイクルのハブとしてリサイクル原料の受入能力の増強や輸送の効率化などを図っている。さらに佐賀関製錬所では、リサイクル原料に付着した樹脂などを取り除き、より多くのリサイクル原料を効率的に製錬(※3)するよう前処理技術や設備の高度化にも積極的に取り組んでいる。

当社では、今後もさらなるリサイクル原料処理比率の向上のための取り組みを推進し、循環経済に貢献していく。

(※1)E-scrap;高濃度の有価金属を含有する、携帯電話など各種電子機器類の廃基板

(※2)地金;金属を溶かして固めたもの

(※3)製錬;鉱石から不純物を取り除き、特定の金属を取り出す過程のこと

実績や目標など

2040年までに、銅製錬所で扱う原料について、リサイクル原料の比率を現行の13%から50%まで上昇させる。

取組を紹介したURL等

JX金属HP内 CSRレポート

https://www.nmm.jx-group.co.jp/sustainabilityreport/pdf/report2020_j_29-30.pdf

JX金属HP内 環境リサイクル事業

https://www.nmm.jx-group.co.jp/company/industry/recycling/

JX金属HP内 ニュースリリース

https://www.nmm.jx-group.co.jp/newsrelease/2020/20210319_01.html

日本経済新聞 「リサイクル原料の物流拠点 JX金属、大分市に」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61988000Y0A720C2LX0000/