casestudy 取組事例

4者一体によるエフピコ方式のリサイクル

[企業・団体名] 株式会社エフピコ

開始時期ときっかけ

当社が食品トレーのリサイクルを始めたきっかけは、1980年代米国で外食チェーン店のプラスチック製食品容器に対して環境への悪影響があるとして不買運動が起きたことに起因します。日本でも同様の批判が発生しかねないという懸念から当社は企業防衛のために1990年に自主的に回収・リサイクルすることを決断しました。


構成メンバーとその役割、連携のポイント

本業のサプライチェーンの中に、消費者・スーパー・包材問屋といったステークホルダーを組み込むことにより、循環型のバリューチェーンを構築して、持続可能なビジネスモデルを作り上げることができました。一番重要なことは消費者のご協力が無いと成り立たない点です。

製品を納品するためのトラックの帰り便を使った静脈物流で効率的に回収することが持続可能なビジネスモデルのポイントです。

また、使用済トレーの再生には、予め選別作業を行う必要があり、このリサイクル事業のメインストリームで障がい者の雇用を積極的に推進しており、多様な人材の活用ができております。現在393名が活躍中で、障がい者雇用率は12.6% (2024年3月末時点)と法定雇用率の2.5%に対して高い水準です。


スキームの説明

1990年に6カ所のスーパーマーケットの店頭回収でスタートした「エフピコ方式」のリサイクルは、回収・再生原料化・再商品化の3つのプロセスからなっております。リサイクル事業は、「入口の回収」と「出口の再商品化」の2つのプロセスがしっかり設計されることが成功のポイントです。自社製品の納品の帰り便トラックを有効に活用した回収方法と、元の姿(トレー)に水平リサイクルする「トレーto トレー」の再商品化手法に大きな特徴があり、使用済み容器を資源として有効利用する社会インフラとして定着しております。 


実績や目標

現在では全国約10,680拠点(2024年3月末時点)で回収し、当社リサイクルセンターで作られた再生原料を使用したエコ製品が製品売上枚数に占める割合は48%となり、APET容器及びOPET容器についてはすべてエコ製品への切り替えが完了しております。

PSP容器「エコトレー」と透明容器「エコAPET・エコOPET」の売上は年間788億円を上回っております。

社会全体のカーボンニュートラルへの機運の高まりや、企業へ環境配慮の取り組みを求める顧客や一般消費者の意識変化を機会として捉え、自社エコ製品は石化由来のバージン製品と比較し、製品ライフサイクルにおけるCO2排出量が「エコトレー」マイナス37%、「エコAPET・エコOPE」マイナス37%となることから、2024年3月期において年間約20.2万トンのCO2排出削減効果が得られております。2023年3月期にはエコ製品の販売によるCO2排出削減量を生産部門におけるCO2排出量とバランスさせて、さらに2025年3月期には同削減量を全社(生産、物流、オフィス部門)におけるCO2排出量とバランスさせる「リサイクルでカーボンオフセット宣言」を2021年2月1日に公表しております。

この目標に対し1年前倒しして2024年3月期に、当社エコ製品によるCO2削減貢献量が、自社グループの事業活動のCO2排出量(Scope1と2)を上回りました。引き続き事業活動を通じて、社会全体の脱炭素化に貢献し、サステナブルな社会を構築するための取組を推進してまいります。


取り組みを紹介したURL

・エフピコ方式の循環型リサイクル

https://www.fpco.jp/esg/environmenteffort/fpco_recycle.html

・当社エコ製品によるCO2削減貢献量が、自社グループの事業活動のCO2排出量を上回りました。

https://www.fpco.jp/dcms_media/other/press_keieikikaku_20240625_1.pdf